ランナー 作:あさのあつこ 幻冬舎 2007.6 超個人的評価:★★☆☆☆ 「家庭の事情」で陸上部を辞めた碧李(あおい)。 それでも走ることを辞めない彼は一人黙々とトレーニングを続ける。 そんな彼に執着する陸上部の顧問や、あこがれの女子マネージャーの存在。 折り合いのよくない母と幼い妹(実際の関係は従姉妹)の間で板挟みになっても碧李は走ることを辞めようとはしなかった…… なーんかうまくあらすじが説明できません。 って、べつにいつものことなんですけどね(泣) 本作の主人公は男子高校生の碧李……のハズなのにこのお話は「女の話」だと思うんですよね。 碧李の妹、杏樹は実際は父方の従姉妹で、彼女が幼い頃に亡くなったため、碧李の家に引き取られます。 それから父親が外に女を作って離婚。家を出ます。 残された杏樹に(なぜか)いなくなった旦那の面影を見いだした母は幼い子どもとどうせっしていいのかわからず、手ひどい扱いを始めます(虐待??) 碧李はこの幼い妹を守って、母親を守ろうとしていっぱいいっぱいになっている。 それをふりきるようにして走っているという印象。 ▼また顧問に片思い中のマネージャーも碧李に対してヤキモチに近い感情を持っていたりして、すごく「女」を感じさせるのです。 ドロドロ? この物語の主題は陸上競技ではありません。きっと。 それよりはもっと、なんだろう。生きることというかんじなのかも。 それにしても今回も快感とか快楽とかその手のワードがいつも以上に大量発生していてほんとどうしようかと思いましたよ。 帯には「バッテリーを超えた」みたいなことが書いてあったけど、少なくともこの手の言葉の出てくる量は軽く超えていました。 そこらへんの耽美小説よりも頻出している気がする。もはや官能小説に迫る勢いでしょうか。 私がこの本を知ったのは丁度、「一瞬の風になれ」を読んでいた時。 あさのさんが陸上を書いてる!!とかなり期待して読み始めたのが失敗だったかも。 とらえ方を変えればきっとすごくおもしろい本だと思います。 この終わり方はシリーズ化しそうな気がするなー。
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