バッテリーV 作:あさのあつこ 角川書店(角川文庫) 2004.12 超個人的評価:★★★★+☆ 三年生たちの起こした「事件」のせいで活動停止をよぎなくされていた野球部。 監督オトムライの努力もあり、処分が明けた野球部の最初の練習は紅白戦。 それも、レギュラー対一・二年という無茶な組み合わせで…… 果たして勝負の行方は。 このあたりから続きが気になって仕方なくなってくるんですよ!! 野球部の処分。真実をかくして、各自の心に重いものを残したけれど、それが解決したと思ったらまた新たな問題が、みたいな。 次から次へと事件とかがやってくるわけです。 今回の見せ場(超個人的ですが)はやっぱり巧と豪が上手くいかなくなるところだと思うんですよね。 本気で、相手と関わろうとするがために相手を傷つけずにはいられない。そんなピッチャーとキャッチャーの関係がよいです。 この巻にかかわらずバッテリーの登場人物はみんな生き生きしていて好きです。 特に、口げんかをしながらも実はかなり似たもの親子で、仲のいい巧のじいちゃんと母親が好きです。 普通、こういう話(特に子ども向け)だと、おじいちゃんは優しくてミカタだけど厳しい母親は敵。みたいなことになりそうなものですが。 この二人もちゃんと生きた、人間として描かれているのが素敵だと思う。 巧母も、話は変わって豪の母親も、ちゃんと自分の息子のことを考えているからこういう風に口うるさく言ってしまうんですよね。 豪とかはそのへんちゃんとわかっていて、そのせいで葛藤を抱えていたりとかしてさ。 現実の悩みって、大きいのがぽんってあって、ソレを解決したら終わり!!はいクリア、みたいなことには絶対ならないし。 悩んだり凹んだりしているときって、あっちもこっちも新しい悩みを発見してまたさらに悩んだりするし。 そういうところがこの作品を「リアル」だと感じる大本なんだと思います。
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