陰日向に咲く

作:劇団ひとり
幻冬舎
2006.1
超個人的評価:★★★+☆☆

「道草」
ある日まじめに働くことが嫌になったサラリーマンのわたしはホームレスになることを決意する。
「拝啓、僕のアイドル様」
売れないアイドルをひたすらに応援する僕と彼女の意外なつながり。
「ピンボケな私」
自称夢はカメラマンな20歳の女の子。流されやすい彼女の、かなりピンボケな日常。
「Over run」
ギャンブル好きで借金まみれの中年男。なにをやっても上手くいかない彼は最近流行りのおれおれ詐欺に手を出すことにするが……
「泣き砂を歩く犬」
中学生の鳴子が出逢ったちっともおもしろくない芸人志望の青年。
数年後二人はストリップ劇場で再開して……?
の6作からなる短編集。

ちょっと前に話題になって、映画化もされたから知っている人も多いかも。
ひねくれもののワタクシはもうちょっとほとぼりが醒めてから読むつもりでしたが、色々あって手に入れたのでとりあえず読み始めました。

思った以上に……上手い!!
なんだろう、芸能人が書いたから話題になってるだけでしょ?っていう気持ちがどっかにあったんですが、途中からそういう色々は忘れていました。
ちゃんと本だ、作品だーって、思えばかなり失礼なことで感動してしまいました。ごめん。
この人、キャラクターやシーンのとらえ方が上手いです。
物語はすべて一人称で語られるのですいが、その各章の語り手たち生き生きしてます。
その分、場合によっては反感を感じたりすることもありました。
私の場合は「ピンボケな私」の主人公の女の子。お前もうちょっとしっかりせえや!!って思いながら読んだ。
ぜんぜん関係なかった登場人物たちが少しずつ関わり合っているこの物語構造が好きだなあ。
最期に向かって収束するっていうには、ややゴーインでどうだろうって気もしますけどね。

章を追うごとに語り口がなめらかになっていく印象でした。
これだけで終わらずにもっと色々書いて欲しいな。

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劇団ひとり

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