帝都万華鏡~桜の頃を過ぎても 作:鳩かなこ イラスト:今市子 講談社(X文庫) 2007.12 超個人的評価:★★★☆☆ この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。 舞台は大正にさしかかったばかりの帝都、東京。 一高に入学したばかりの琢馬は、ふとしたことから桜の木のしたで出逢った美しい青年、京介に目を奪われる。 出会いから月日は流れ、詩人と編集者となった二人の関係は、琢馬が妻を得てからも変わらなかった。 琢馬が、病気がちの妻を失うまでは…… あとがきやら解説やらでこの作家さんの世界感はかわっているかわっている。そんで、そこがいいよねと何度も何度も言われてますが、 わたし個人としてはそれほど「変わっている《という印象はうけませんでした。 文章はたしかにあんまりラノベっぽくはない。時々出てくる妙に軽い擬音語以外は文学っぽいかんじ。 舞台設定も大正時代と、まあBL的にたくさんあるわけでもないけど、ないわけでもない気がするんだけど。 ストーリーは男同士に女の人(妻)が入った割と王道的な感じだよね。 なんていうか、喪失からの立ち直りというか。 それよりはたまに出てくる旧カナ風の「ぢ《の表記が気になって仕方がありませんでした。 「オレンヂ《とか「ぢっとり《とか「ぢんぢん《とか。 オレンジは外来語だし、その他は擬態語とかだから別にどんな表記をしてもいいっちゃいいんだけどなんでそこだけ「ぢ《? 他の部分がそれほど文語体っぽいわけでもないので、なんだか浮いて見えてしまう。 琢馬と京介の出会いは転んで鼻血を出した琢馬に、京介がハンカチを貸した、というもの。 なのに京介はそのことを完全に忘れているようです。 再会した琢馬がハンカチを返そうとすると、覚えていないといい、その後もその話題についてはなかったことになっている。 あのエピソードはなんだったのでしょうか。 ってか、木の下で転んで鼻血を出すような奴はそうとうに印象的だと思うんだけどな。 あとがきのあとに作者の師匠的な存在である栗本薫氏の解説がのっています。 が、この解説がもうものすごい褒め殺しでして。 読んでいてちょっと、さむい気分になってしまった。 秘蔵っ子なのはわかったけど、ちょっとひいてしまった。 ただ単純に私が栗本氏の本を読んだことがないのも原因かもしれません。(あんた誰よ状態) どちらにしても、もうちょっと(褒めるのを)おさえてくれても良かったんじゃないかなと思うワケです。
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