亡国のイージス 上 作:福井晴敏 講談社(講談社文庫) 2002.7 超個人的評価:★★★★☆ 最新のシステムを搭載した護衛艦〈いそかぜ〉 大規模な改修工事を終えた初めての航海で事件は起こった。 核にも匹敵する破壊力をもつ謎の兵器が持ち込まれたのだ。 艦内の平穏は少しずつ崩壊し、守るべき国を失った楯は日本に牙をむく。 若手海士の如月行、先任伍長の仙石恒史、そして艦長の宮津弘隆。 国家間の陰謀に翻弄され、本来交わることのなかった男たちの運命が交錯する。 分厚さにうきうきしながらページを繰って、まず驚いたのはその文章のなじみやすさでした。 私は、どんな本でも大概の本は読み始めてしばらくの間はその文章のリズムに頭をならすのに時間がかかります。 その間はなかなか物語にも入り込めないし、読むのにも時間がかかる。 でも、今回はそれがぜんぜんなくて。 ちょっと嬉しい発見です。 これといって飾り気があるわけでもない自然体な文章はとっても好みです。 話を内容のほうに戻しましょう。 楽しかったです。ええ、非常に。 先の読めないストーリー展開や、なにより魅力的なキャラクターたち。 青年からおじさんまで、それぞれが信念を持っているせいで起こってしまった惨事なわけですが…… それがまた格好いい!! なんかこの作品を読んでいる間、脳内の腐女子フィルターが大活躍でした。 まっとうなファンのみなさんごめんなさいと唱えながら(でもにやけながら)読んだよ。 人を拒絶する寡黙な青年の行と先任伍長、仙石の絵を介した心のふれあいだったり。 (21歳と48歳!!年の差バンザイ) 仙石のペースに巻き込まれて、いつのまにか少しだけ周りとなれ合ってしまう行の葛藤だったり。 それによって引き起こされる事件だったり。 行の過去は泣きそうになりました。犬のエピソードが特に(犬好き) ぼーっとしていると余計なことを書きそうなので上巻はこのあたりにしておこうとおもいます。
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