亡国のイージス 下 作:福井晴敏 講談社(講談社文庫) 2002.7 超個人的評価:★★★★+☆ 思わぬ反乱から、日本をミサイルの攻撃対象に定めたイージス艦〈いそかぜ〉。 艦を取り戻すため、行を助けるために単身いそかぜへと戻った仙石。 国同士の陰謀うずまき、戦争をわすれた日本はなすすべもなく黙視を続けることしかでかない。 果たして日本はどうなってしまうのか。 そして、仙石は?行は?宮津の運命は…… 下巻冒頭にテレビ中継の場面があります。 そこの説明文がすごく不思議なかんじでした。 芝居のト書きみたいというかなんというか…… ここでこんな音楽が流れてそこで○○というテロップ、アナウンサーが大写しになる、みたいな。 別に普通に情景描写の文章でよかったような気がします。 そこだけ浮いてしまったような感じ。それがねらいなら大成功ですが。 後半はとにかく私の目は行と仙石にくぎづけでした。 戦闘に身を置くなかで見えてくる行の信念。 目的の為に人を傷つけることをいとわない行に、自分が甘いとわかりながらも抵抗を感じる仙石の葛藤とか、もう!!(以下自主規制)。 信念の違いから二人が言い争いになったり、自分の信念に従って行動して死にかける仙石を行が助けたりするのを見て、もうテンションは限界値を突破。 命がかかっているのにもう痴話ゲンカにしか見えない(どんだけ強力なフィルターなんだか) またこの二人の掛け合いが絶妙なんですよね。 自分の倍以上のおっさん(しかもかなり階級が上)に行はタメグチを聞きます。 それに文句をいいつつもいつの間にやらなじんでいる仙石の柔軟さと強さ。 戦闘のプロである行と、訓練で多少かじって実践は皆無な仙石。 助け助けられの関係が素敵過ぎるよ。 (一瞬私の頭のなかをオヤジ受けという単語がよぎったとかよぎらないとか) なんかこの二人のことばっかりですが、下巻は怒濤の大展開です。 そしてあの結末は…… 以下ネタばれを含む腐発言なので隠しときます。 ▼無事に帰還を果たした二人の再会のシーンはもう「ごちそうさま」という言葉しか出てきませんでした。 絵が結んだ二人の絆を感じる場面。キラキラしてます。 ハッピーエンドバンザイかな。 エピソードとして、仙石が出て行った妻と寄りを戻したというのが語られるんですが…… なくていいと思ってしまうカワイソウな自分がいます。 もうお前ら二人で絵を描いて暮らしていけばいいんじゃない?(脳内暴走中) 全体的な物語としては、やや都合の良すぎる部分だったりもあるような気がしないでもないですが、とても楽しかったです。
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