6ステイン 作:福井晴敏 講談社(講談社文庫) 2007.4 超個人的評価:★★+☆☆☆ 福井さんの短編集。 やっぱりというかなんというか自衛隊がらみのお話です。 収録作品は 「いまできる最善のこと」 かつて市ヶ谷の秘密部隊にいた中里。土木会社に再就職した彼は電車で移動中に因縁のテロリストに出逢う。 中里にできる最善のこと、とは…… ▼作家さん的に死にオチだったらどうしようかとすっごく心配しました。 よかった 「畳算」 ソビエトの内通者だった牧野啓介の隠したスーツケース型爆弾を追って、彼の元妻の営む旅館を訪れた堤。 牧野の残した手紙の中に描かれた女の姿に一種のあこがれを感じていた堤だったが、実際に彼をまちうけていたのは一癖も二癖もあるばあさんだった…… ▼一話目で死にネタじゃないことに安心をしたのに……うん。多くは語りますまい。 でも6作品の中では一番好きなお話です。 「サクラ」 高藤は同僚の代役である人物の監視の任務を請け負った。その協力者としてあらわれたAP(防衛庁情報局員補佐)はまだ年若い女だった。 「媽媽」 幼い子どもを持ちながらも防衛庁情報局員を続ける由美子。 彼女が追っているターゲット、ユイと呼ばれるマフィアの男が捕まった。 「断ち切る」 かつてはスリの一種、断ち切り師として名をはせた椛山も、今では妻に先立たれ息子の嫁に邪険に扱われるごく普通の老人だった。 そう、その女に出逢うまでは…… 「920を待ちながら」 タクシードライバーとAPを兼任する須賀は、裏の仕事として人や物を現場に運ぶのを生業としている。 今回彼が運んだ自称木村。一見今時の青年のようだが、完全にそちらの世界の顔をしている木村に須賀は興味を引かれる。 二度目に木村を乗せた時、事件の歯車はまわり始めた。 なんといっても亡国のイージスファンに優しい本作。 ▼だって!!だって行が!!と私のテンションも一気に急上昇です。 作者がどんでん返しをやりたくて書いてるという感じが若干しました。 二人がしりとりをするまでの話。 文庫化されたのは割と最近だけど、実際は2000年頃の作品です。 そのせいか色々と懐かしいアイテムや言葉が目白押しでした。 ポケモン、デジモン、ポケットピカチュウ、コギャル、二千年問題…… なんか途中からせつなくなってきてしまいましたよ。 解説はあさのあつこさんです。 ちょっとびっくりした。そして人の本の解説でも「快楽」という言葉を使いまくる彼女は本当にこの言葉が好きなのだと思いました。まる。 たしかこの本を読んでいるとき、ちょっと自分の中でもないくらい忙しい日々でした。 間がすごくすごく空いた記憶がぼんやりあります。 普通私はこの厚さの文庫本なら長くて3日というところなんだけど……軽く一週間以上かかったような。 よくもわるくも福井さんらしい本だと思いました。
|