変身 作:カフカ 新潮社(新潮文庫) 1952.7 超個人的評価:★★☆☆☆ ある朝目を覚ますとグレーゴル・ザムザは巨大な虫になっていた。 印象的な書き出しから始まる有名不条理小説。 やっと読んだよ。 「ある朝目を目を覚ますと巨大な毒虫になっていた」っていうフレーズはあまりにも有名。 ただし本文中には毒虫っていう言葉は出てきませんでした。 毒々しい描写の虫であることには変わりないけど。 ▼以下ネタバレを含む感想。 家族のために一生懸命働いてきた男、グレーゴル・ザムザさんはある朝起きると巨大な虫になっています。 (ここでなぜに?!とか追及してはきっといけないのでしょう。なったって言ったらなったんだから) 初めのうちは家族も腫れ物に触るように彼の世話をします。 しかしそれも次第に途絶え、最期には父親の投げたりんごが致命傷となり死んでしまいます。 それで家族はどうするのかというと、邪魔者がいなくなった!!とばかりに新しい生活を始めるのです。 グレーゴルさん、報われなさすぎだ。 訳者の後書きいわく、第一次世界大戦後のドイツの精神危機的ななんとやらという説明がされています。 そういうのって説明されれば「そうか」って納得するけど、単純に作品の部分だけ読んでいる分にはウツだ!!で終わってしまう気がする。 思うにこういう不条理な話や納得のいかないものに理由をつけるために色々するのが文学なのかな、と。 そこには作者の意図の解明が大きな目標の一つであるはずで、でも時にはそれさえも超越したりする不思議な世界。 そのあたりを考え出すと思考が無限ループしてしまう今日この頃。 たまにはこうやって無駄なことに頭を使うことも大切だよね。たぶん。
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