光ってみえるもの、あれは 作:川上弘美 中央公論新社 2003.8 超個人的評価:★★★☆☆ 母親と、祖母と三人で暮らしている16歳の少年、翠。 父親はいないが、生物学上の父親はよく家に遊びに来る。 友達がいて、かわいい恋人もいて、ごくごく普通の毎日のなかにはなにか、幽かな違和感のようなものが潜んでいる。 きらきらした日々の中で、懸命に生きる少年と通して描かれる夏の物語。 父親のいない一家の三人暮らし。 「ぼくは勉強ができない」から始まって、「ぼくは悪党になりたい」そして本作とたまたま続けて読みました。 こういう話の母ちゃんはだいたい自由で強くて印象的です。 でもみんな方向性が似てるんですよね。なんだろう。社会とか時代とかそういうもののせいでしょうか。 タイトルに惹かれて図書館で借りてきたんですが、読み始めた時からずっと既視感が抜けませんでした。 なーぜー、似たようなシチュエーションの作品が続いたせい??なんて思っていたら事件(か?)は単純。 前に読んだことがありました。って、借りる前に気づけ自分。 確か前もタイトルに惹かれて読んだんだ。憎いぜ!!素敵タイトル。 というわけで、読み始めてしまったものは仕方ありません。最後まで突き進むことにします。 ちなみに恋人の水絵ちゃんが出てきたあたりでやっと読んだことがあることに気づきました。 なんだこの鳥頭は。 しかし水絵ちゃんはいい子です。私が男だったらこんなこを彼女にしたい。 本当に翠のことが好きで、何かあると詩を朗読してくれたりする女の子。キラキラしとります。 決まり切った日常から抜け出すために女装を選んでしまう親友の花田や、翠の生物学上の父親、大鳥さんなど、脇を固めるキャラクターたちもちょっと変わっていて、そしてとても生き生きしている。 タイトルが気になったあなたは一読してみるのもいいかもしれません。 今回に限っては内容を覚えていたため、二度目を読み切るのはなかなか骨でした。 どうせ忘れるんなら内容まで忘れていてくれればもうちょっと楽しめたのに……と自分の中途半端な頭を恨んでしまいそうなワタクシがいます。いやいいんだけどさ。
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