神様 作:川上弘美 中央公論社(中公文庫) 2001.10 超個人的評価:★★★★☆ デビュー作、神様収録の短編集。 「神様」 隣に住んでいるクマとの交流。このクマは比喩でもなんでもなく本物のクマである。 冒頭の語り出し「くまに誘われ散歩にでる。」でもうすっかり物語に引き込まれてしまった。妙なシュールさとリアリティが同居している。だいすき。 「夏休み」 夏の間だけ梨畑にあらわれる不思議な生き物との交流。かわいい。 「花野」 5年前に死んだ叔父との会話。この話を読むと大好きなマンガ家、あとり硅子さんのマンガを思い出す。そういえば川上さんの短編の持つ雰囲気はあとりさんの作品になんとなく通じるものがあるような気がする。 「河童玉」 友人のウテナさんと寺に精進料理を食べに行くと河童に出会った。 「クリスマス」 ウテナさんにもらった怪しげな壷を擦ると、中から変な女コスミスミコが飛び出してきて… 「星の光は昔の光」 コスミスミコと暮らすわたしの家にたまにやってくるちょっと変わった少年、えび男くんの話。 「春立つ」 猫屋というさびれた飲み屋をいとなむ老女、カナエさんと彼女が愛した不思議な男の昔語り。 「離さない」 画家件高校教師の知人、エノモトさんがひろってきた人魚。優美な姿で泳ぐそれはどうやらあまりよくないもののようで… 「草原の昼食」 名前のないくまと一緒に出掛けた最後の昼食。 そこはかとない優しさや懐かしさやシュールさが好き。 読みやすいし、オススメです。
|