吸血鬼ハンター"D" 作:菊池英行 朝日ソノラマ(ソノラマ文庫) 1983.1 超個人的評価:★★-☆☆☆ 西暦12090年。吸血鬼はゆるやかな滅びの時代を迎えていた。 それにも関わらず、彼らは一人一人只人には到底太刀打ちできないような力を持ち、相変わらず人々の畏怖の対象で在り続けた。 辺境の小さな村で、吸血鬼から貴族の口付けをうけてしまったドリス。幼い弟とたった二人の生活を守るため彼女は幻の吸血鬼ハンターを捜す。 そしてあらわれたのは美貌の青年”D”。どうやら彼にはなにか秘密があるようで…… ずーっと気になっていたシリーズにやっと手をつけました。 以前テクノゴシック(→参照 )で紹介されているのをみたけど、確かにこの世界観はばっちりそういう感じでした。 時代設定としてはかなり先の未来。文明は一度発展して、退行した。それでも文明レベルは今より高そう。全自動の温室とかバリア(SF?)とかがあったり。 吸血鬼も伝承のなかにあるようなクラシカルな怪物ではなくて、科学の力で世界を支配していたりします。 なんて、世界感はおもしろいんだけど、正直個人的にはつっこみどころ満載でした。 世界設定について説明が長い……のはまあ、仕方がないと思うことにします。 一番ワタクシがつっこみたいのはヒロインのドリスちゃん。 彼女は自分を守ってくれる強いハンターを捜すために自ら荒野に出ていろいろな男に戦いを挑みます。 そんな子だからちゃきちゃきしたお姉さんなのかなーと思いきや、守ってくれる人(=D)が現れた途端おびえるだけのヒロイン側にシフトしたり。 それよりもなによりもその戦いの最中、相手をひるませるために全裸(なぜ全裸??上だけとかで十分じゃないっすか??)になるような子なのに、傷口を見るためにDに顔を寄せただけで異常に照れたり…… しかもその時の地の文が純情な乙女だとかなんとか(うろ覚え) 純情な乙女は戦いの最中全裸にはならないでしょう。たぶん。 Dが美形なのはわかったけど、みんな彼の顔にまどわされすぎな気がする。 特に女性(一部??もありますが)キャラ。 みんながDの虜で、もうどーにでもして状態でした。 なんていうか、もうここまでくると作者は実は女性嫌いなんじゃないのかとかそんな穿った考え方をしてみたくなります。 文章は基本三人称なのですが、それがたまにヒーローショーの実況みたいで笑えました。 「なんということだろう!!」とか「危うし、乙女」とか…… おもわず吹き出してしまった。 とりあえず……続きはしばらくいいかな。 さて、これでやっと2007年に読んだ本が片づきました。 またそのうちちまちまと整理していきます。 がんばるぞ。
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