舞姫打鈴

作:金蓮花
イラスト:青樹そう
集英社(コバルト文庫)
1994.11
超個人的評価:★★★☆☆

「まいひめたりょん」と読むそうです。
仙人たちの住む世界にある一件の茶屋『銀葉亭』。茶の味と穏やかな主人、李氏の魅力で神仙が集うこの茶屋に、悲しげな瞳をした風雪の精が訪れた。彼女の名前は雪華(そら)公主。まもなく自分は消えるのだという彼女はゆっくりと過去を語り出した。
それは朝鮮に高句麗・百済・新羅の三国が林立していた頃。公主がまだ人間だったころのたった一つの恋の物語だった……

このお話。語りの中に語りがあるという、いわゆる入籠構造をしています。
公主が李氏に話す大枠の中に、さらに新羅の英雄とされる庚信の話がある。そんなカンジ。

個人的にちょっとひっかかったのは、物語の中に李氏についての記述があまりにも少ないことでしょうか?
シリーズものの第一作のようなのですが、もうちょっと詳しく書いてくれたほうが嬉しいです。
客観的なところだけではなく、内面とか。どう考えても彼には暗い過去やらしがらみどっさりのようで、それは今後ちょっとずつ出てくるんでしょうが、でももうちょっとあった方が感情移入とかできると思うんだけど……それにトキメキですしね。美形でちょっと影があって、物腰穏やかで、聞き上手な茶屋の主。ものすごい狙ってるキャラかも(笑)

あと、公主が語っているはずの物語の中なのに、視点がふらふらするのが気になったかもしれません。
後の展開の複線?なのかもしれないけれど。
あまりにも公主を客観視した視点が多い気がしました。

庚信の話は本当に引き込まれて読みました。
将来を嘱望される貴族の若者と舞の名手である娼妓との恋物語。ベタといえばベタなんだけど切ないです。

うん。満足でした。

舞姫打鈴(たりょん) (コバルト文庫―銀葉亭茶話)舞姫打鈴(たりょん) (コバルト文庫―銀葉亭茶話)

集英社 1994-11
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