傀儡后 作:牧野修 イラスト:山本ヤマト ハヤカワ文庫 2005.3 超個人的評価:★★☆☆☆ 舞台は、二十年前の隕石の落下によって壊滅的なダメージを受けた近未来の大阪。 落下地点の半径6キロ以内は立ち入り禁止区域とされ、人々はそれを取り巻くように暮らしている。 体内埋め込み式の携帯電話(らしきもの)のケーターが普及し直接肉声で会話することを拒む子どもたち。 五感で世界と融合するという謎のドラッグ「ネイキッド・スキン」 そして全身の皮膚がゼリー状に変化していく奇病、麗腐病。 人々は崩壊の予感に少しずつ巻き込まれていく。 果たしてこの美しくて、醜い世界のむかえる結末は…… SFです。 あらすじ曰く、テクノゴシックSF。 ゴシックの方はまあいいとして、SFそれほど得意じゃないんですよね。実は。 それでも年に数回読んで、ああやっぱりねと思わずにはいられない因果な性質をしてますワタクシ。 世界設定よりも、登場人物の造形やストーリーを追う方が好きなのが原因なのかな…… ながながと世界設定を解説されると読み飛ばしたくなってしまう。 最初の方はケーターを使って以外の会話を拒む「コミュ」の少年、函崎くんの視点で語られます。 大人たちへの反抗心や、同じコミュたちとの信頼関係。恋人?の三嶋への想い。 そして絶対的でちょっと?怖いカリスマな先輩(男)との関係。 ▼キスー!!!(またそれかよ) ええと、思うにこのあたりはすごくゴシックなのかなーと。 倒錯?性別を超えたものというかなんというか。 もしくは先輩はもっと悪魔的な何かと考えることも出来そうです。 が、このあとは驚くようなジェットコースター急降下な展開が。 続きは気になって、どんどん読めましたがこの結末はどうなんだろう。 「こうなった!!」と宣言しないで、ある部分読者の想像に委ねるSFっぽい終わり方だと思いますが…… 函崎くんの扱いがかわいそうすぎる。 彼はただいなくなってしまった恋人を探していただけのはずだ。 なのに、あんまりです。 今回かわいそうな人ナンバー1は間違いなく彼だと思う。 というわけで彼に感情移入して読んでいた私はとても複雑なのでした。
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