蝶 作:皆川博子 文藝春秋 2005.12 超個人的評価:★★★☆☆ ちゃんと皆川さんの作品を読んだのは初めてかもしれません。 不思議な物語感でした。 この作品は、これといってつながりがないように見える作品の短編集です。 収録作品は 「空の色さえ」 「蝶」 「艀」 「思ひ出すなよ」 「妙に清らの」 「龍騎兵は近づけり」 「幻燈」 「遺し文」 すべてが終わってしまっている物語だな、という印象を受けました。 物語は進行系で語られていても、そこには断固として変わることのない終わりに向かっている。 そこになんだかさみしさというか、哀しさを感じるのです。 決してハッピーエンドではないんだけど、すとんと落ちてくる感じで後味の悪さが残らない。 不思議な感じでした。 何度も読み返したくなる本というのはこういう本の事かも知れません。 いつか読み返そうと思います。
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