秒針は愛を刻む 作:水上ルイ イラスト:佐々成美 ビブロス(ビーボーイノベルズ) 2003.10 超個人的評価:★★+☆☆☆ この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。 フランスに研修に訪れた新米時計デザイナーの真琴。 彼は伝説的時計職人、ジャン・アウグストに逢うために彼の住居である古城へと訪れた。 現れたのは真琴の想像よりもかなり若い美貌の男。 彼は真琴の依頼を受けるかわりに彼の「下僕」になることを要求してきて……? 1ページめの最初の一人称カタカナの「オレ」に多少がっかりしてしまった今日この頃です。 超個人的にカタカナの「オレ」は中学生までだと思っています。 うわ、我ながらどうでもいいこだわり。 真琴が自分の昔を懐かしんで「駆け出しのころは〜」って表現が出てきます。 そんな真琴くんは24歳。社会人3年目。 デザイナーの3年目って駆け出しじゃないのかなーなんて思ったり。 なんだろうなー。 BLっていうジャンルにはには職業小説的な色が結構強い気がします。 そういう意味では成功している作品だと思います。 時計のこととか、デザイナーの仕事とかしっかり書き込まれている印象。 デザイナーさんがいて、それとは別に職人さんがいる。 当たり前のことかもしれないけど、わたしはなるほどーと非常に関心しながら読みました。 その一方で物語としてのBL部分には若干安易な感じをうけてしまいました。 男が男に惚れる必然性というか、意味というかさ。 物語の進行が真琴とジャンの一人称(交互)な上に、描写があんまりにもきらきらしいから、所詮お前ら顔なのかと思わずにはいられない。 一応「才能に惚れた」みたいな表現が出てくるんだけど、なんとなく後付けに思えてしまいました。 物語っていうのはだいたいにおいて都合がいいものですけど……バランスが難しいよね。 今回、アウグストさんの当て馬的存在として彼のおじさんが出てきます。 真琴の会社の社長で、アウグストと時計職人の家系の家督を争った人。 の、はずなのにこの人がもうほんとにダメな人でさ。 もうちょっと魅力的&才能のある人にしといた方が話が広がった気がしなくもないです。 残念。
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