東京奇譚集 作:村上春樹 新潮社 2005.9 超個人的評価:★★★+☆☆ 『奇譚』という言葉が好きです。 奇譚_意味的にはちょっと不思議な話、とかそれくらいなのですが。 きたんっていうとなんだか響きが綺麗だと思います。ちょっと不思議な話はそれこそ私のごちそうですし。 というわけで手に取ったのがこの『東京奇譚集』です。 村上春樹は大学の授業でやった『風の歌を聴け』と『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』しか読んだことがありませんでした。 そして三冊目。 三冊読んでもなんだかつかみどころのない人だなあ。 とりあえず独自のワールドを持った人には違いないのですが。 うーん。 とりあえず感想とか内容とか。 この『東京奇譚集』5つの物語からなる短編集です。 「偶然の旅人」 作者である村上春樹が一つの例をあげてする物語のイントロダクション。 一人のゲイのピアノ調律師が出会った小さな奇跡のお話。わたしはこれが一番好きでした。 「ハナレイ・ベイ」 ハワイで息子を亡くして女性とピアノの話。 とつとつとした語り口は好きです。ただ不思議の内容がイマイチありがちな気がしました。 「どこかあれが見つかりそうな場所で」 行方不明になった夫の捜索を依頼されたボランティアの探偵の話。 「日々移動する肝臓の形をした石」 小説家志望の青年がパーティで出会った不思議な女性と彼の書いた短編小説。 オチがオチていないような、そうでもないような。ストーリーと作中小説はリンクしているのか? 深く考える必要があるのかも…… 「品川猿」 名前を忘れてしまう主婦と彼女の過去と猿。 いっそシュールでした。 funのおもしろさというよりintrestingなカンジでしょうか? 頭を空っぽにして一回読んで、次に頭をフル回転させながら深読みしたらよいかもしれません。 そういうカンジでおすすめします。
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