サン・フロリアヌスの騎士〜白い花舞う村〜 作:中井由希恵 イラスト:江ノ本瞳 集英社(コバルト文庫) 2002.5 超個人的評価:★★★☆☆ 舞台は13世紀のイタリア。 豪商の娘ヴィオナは読書好きなおてんば娘。 父親の書斎に忍び込んで勝手に本を読んでいるところで自分の「婚約者」なる人物の父親を目撃する。 そのあまりの醜さに(自分の婚約者の姿を勝手に想像して)絶望し家出を決意するヴィオナ。 御者のディーノじいさんを言いくるめて馬車で旅に出たのはいいが、道に迷いさらには怪しい人物に襲われそうになる。 彼女を救ったのは決して立派とはいえない格好をした騎士の青年だった…… タイトルからもっと騎士と姫の物語みたいなのを想像したんですが、なかなか所帯じみた感じが素敵でした。 コバルトで歴史ものっていうことで、こう歴史的な説明が色々細かく親切にされていたのがなんとも印象に残っております。 そうだよねー中には小学生のおこさんとかも読んでるんだもんねー。 ちっともうっとうしくなかったと言えば嘘になるけど。まあ、仕方ないでしょう。 とっても気になったのは、主人公ヴィオナ(正確にはヴィオレッタ)の名前を地の文で「無理矢理和訳するならすみれちゃん〜」 みたいな説明があったことでしょうか。 なくていいと思うんだけど……どうしても作者的に説明したかったの?? あと物語は基本的にヴィオナ視点で語られるんですが、所々に他の視点が入ってきます。 そのなかでヴィオナにあこがれる騎士見習いの少年、ジュリオくんによるヴィオナの描写が入ってくるんですが それがなくてもいいかなーって思いました。 ヴィオナは自分を助けてくれたぶっきらぼうな騎士のクラウディオのことが気になりだしているんですが、 そこにジュリオの視点が入ると、ストーリーの主軸がぶれてしまうような気がして。 ここはあくまで彼のことは突き放して、どうみてもこいつヴィオナに気があるよなーって遠くから描写しとく くらいがいいのでは。なんて偉そうなことを考えてみたり。 ええと、少女漫画的運命の出会いは嫌いじゃありません。
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