僕僕先生 作:仁木英之 新潮社 2006.11 超個人的評価:★★★+☆☆ 元県令である父の元に生まれた青年、王弁。現在二十二歳。 お金持ちの家に甘えて、やる気のない、やることのないのんびりとしたニート生活を満喫中だった。 ある日、神仙の道に憧れを抱く父の代理で弁は嫌々ながら近くの山に住まうという仙人の元を訪れた。 そこにいたのはどう見てもまだ10代半ばの少女。 しかし、彼女が本物の仙人「僕僕」だと名乗る。 ひょんなことからこの僕僕先生に弟子入りすることになるが…… 美少女仙人(でも時々老人)の僕僕先生と、元ニートの青年、王弁の中華風冒険記。 主人公の弁の状況というか、状態が今の自分に似すぎていて泣けた(そんな私は22歳ニートとフリーターの境界線) ただ違うのはうちがお金持ちじゃないことくらいでしょうか。しくしく。 僕僕先生と弁の関係が好きでした。 仙人だけあって、本来の姿は謎に包まれているのですが、時々で少女らしく時には妖艶に振る舞って弁を翻弄したりとか。 先生も遊んでいる自覚があるし、弁の方もも遊ばれている自覚があってなんとも微笑ましい。 それがちょっとずつ逸脱しそうになる感じがまたトキメくんだなあ 発売当初に本の装丁に惹かれて手に取ったんだけど、お金がないから諦めたことがあります。 ちなみにその後に古本屋で購入いたしました。貧乏って悲しいね。 以下ちょっとしたネタばれを含むので反転で ▼ ラストで弁の元を去った先生が戻ってくるシーンがあります。 そこの月日のながれがどーしても気になってさ。 旅の間のいろいろで成長した弁は、仙人の医術をもちいて人々を救う立派な人間に成長します。 そこに飄々ともどってくる先生。ただしその間に流れた年月はたった5年。 個人的にはもーっとずっと後で戻ってきて欲しかったです。できれば弁がおじいちゃんになっているくらいが理想。 片や青年のころ仙人に恋をした老人と、彼よりもずっと長い間生きているのに少女の姿をした仙人。二人は淡い気持ちで結ばれてる。 って方が個人的には100倍トキメくんですがいかがでしょう。 いっそ寿命で死にかけた弁のところに僕僕があらわれるとかそういうベタな展開でもいいよ。 でも実際彼女が戻ってきたのは5年後。弁はそれまでの地位をすてて僕僕とあっさり逃避行。 なんだかお手軽な気がしてしまう私なのでした。 作品中に出てきた王さまだとか官僚だとかの名前が一向に覚えられない自分がいます。 漢字名前は苦手です。(そんな私は中国嫌いの世界史選択)
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