どこかに神様がいると思っていた 作:新野哲也 新潮社出版 2004.8 超個人的評価:★★★+☆☆ タイトルに惹かれて図書館で手に取った一冊。 これといってものすごい事件が起きるわけではない。 淡々としていて、それでいて不思議な味のある短編集です。 収録作品は 「どこかに神様がいると思ってた」 相場師という過酷で危険な人の恨みを買う仕事をしていた男がなんとなく自殺をしようとしていた若い母親と子どもたちを助ける話。彼らはなんとなくのまま流されるままに家族になる。タイトルになっている母親の一言が印象的。 「探鳥日記」 鳥好きだった妻を偲ぶために約束の赤い小鳥を探す男の話。 「白い路」 筆を折った老画家と小ずるい画商と狡猾な女。 「やつを殺すから探せ」 同じ少年院にいた男たちの絆を描く。お話はまったくタイトルの通り。 「蝶の谷」 山でうち捨てられていた犬を助けた男。彼の独白。悲しみのその向こう側にある美しいものは。 その他「かわいいステップを踏んでくれ」「聖壇に祈りを」「口笛で恋歌を」「カモメの、ルビーの目で振り返れ」「平凡な女神」 の計10本。 それにしてもこの人、タイトルをつけるのが上手い。 本の表題もそうだし、各短編のタイトルもカッコイイと思います。 ただお話の内容が全部淡々として、これといってオチのないものばかりなので、続けて読んでいるうちにだんだんとだれてきてしまいました。 なんかもっといろんなお話の中でこれらの短編に出会えたらもっと楽しかったかもしれません。 なんてちょっと偉そうなことを言ってみる。 でもこういう話は嫌いじゃないです。
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