チョコレートコスモス 作:恩田陸 毎日新聞社 2006.3 超個人的評価:★★★★-☆ 恩田さんの舞台モノ!ということで、一応役者を気取っている私は喜々として借りてきました。 大きな仕事を任されて悩む脚本家の神谷。導かれるように大学のサークルで演劇を始めた不思議少女、飛鳥。キャリアも実力もある二代目女優の響子。 演劇というものには関わっているものの、ばらばらだった彼らの世界は導かれるように一つの舞台へとつながっていく。 チョコレート・コスモス――舞台のそのむこうにある、途方もない世界。 果たして、彼らはそこにたどりつけるのだろうか。 そして、そこにあるものは…… 通学中の電車で一気読みをしてしまいました。 ちょっとつっこみたいところもありましたが。 主人公の一人(ってしておくのがいいのかな)、演劇経験なしで始めたばっかりの女の子、飛鳥の天才っぷりがスゴイような。 見たものをそのまま再現できる能力って、そんなんあったらいいですね。 でも、それだけならいいんだけど、舞台に立って台詞とか演技の『間』がいつでも完璧とか、一日目の芝居を終えて、二日目にぜんぜん違う芝居に変えるとか、昔に読んだ脚本の台詞を全暗記しているとか。すごい俳優さんとならんで対等以上に芝居をするとか。 まあ、確かに世の中にはカンのいい人もいるけれど。ちょっと天才過ぎてリアリティがなかったように感じました。 お芝居って、どうしても経験がものをいうような所がたくさんあるように思うんですよ。 たくさん舞台とか映画とかドラマを見ても実際自分が舞台に立って、他の人の演技をうけてやってみると全然違う。 私はそう思います。 それを思うと響子のパートは安心して読めました。 物語の最後に『欲望という名の電車』を演じるオーディションの場面があります。 そこで飛鳥が演じる場面があるんですが、なんかそれがすごかったのかどうなのかイマイチよくわかりませんでした。 私はこの元ネタの芝居をしらなかったせいもあるとは思うんですが、ちょっとひねりすぎな演出っていうかんじ。 これだったら飛鳥の前にやった菜月の方がすごそうに見えました。 実際、菜月の演技が終わったシーンでちょっと泣きそうになってしまった。そうなんだよね。舞台って、演じることでこんな風に感じられることは恐いけどとっても幸せなんだよね!!って私情入りまくりのテンションで。 うん。でも”演じること”の感じとか雰囲気はとってもよく出てました。 芝居とかを見るのが好きな方にはオススメかと思います。
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