戒 作:小山歩 新潮社 2002.2 超個人的評価:★★★★★ もうホント文句なく★★★★★です。 今までに何回読み返したでしょうか。たぶん今まで出会った本の中で一番回数読んでるんじゃないかな。 さて、内容ですが。 名家の長男として生まれ、公子の乳母をする母に公子と共に育てられた戒。 「お前は公子の影となりなさい」 美しいけれど、死ぬ間際まで残酷だった母の呪縛を受けて彼は自由に生きることができない。 本当は誰よりも才能があって、どんなことでもできるのに、公子をたてるため愚かな舞舞いとして公子を笑わせるためだけに生きることを決意するが…… 舞の腕も軍師としても頭の回転も詩作の才能も狩りの腕も…なんだってできるのに、あまり才のない公子のために尽くす戒の葛藤が切ないです。 物語は歴史小説のように、戒の墓が見つかった、というところから始まります。後の世では優れた王を堕落させた存在として憎まれていたりして。 登場人物だってみんながやさしいわけじゃない。戒のことをおとしめようとするひとたちもたくさんいます。 そして、死ぬ人だってたくさん。だけど、みんなが愛しくなるんです。 最期の戒が舞うシーンは本当に壮絶で、切なくて。 幸せってなんだろう。そういうとすごく陳腐に聞こえてしまいますが。とても深いところから(柄にもなく)考えてしまいました。 正直わたしは「この本を読んで泣きました!!」とか言われてる本は嫌いです。 泣きのツボなんて人それぞれだろうし、私は泣くために本を読むんじゃない。 だけど、この本はそういうことじゃなくて。 悩んで、苦しんで、時にあきらめて、そんな戒と一緒にぐるぐるして。 うーんなんだかまとまりませんね。 でも本当にオススメなんです!! 結構に厚みのある本ですが、一度読んでみてください。 ほんとに。お願いします。
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