後宮小説 作:酒見賢一 新潮社(新潮社文庫) 1993.4 超個人的評価:★★★-☆☆ 先代皇帝が上吊誉な死を遂げて、素乾国に新しい国王が誕生した。 同時に後宮も再編成されることになり国中から若い娘たちが集められることとなる。 十三歳の田舎少女、銀河はいい暮らしができるという噂を信じて自ら後宮へと向かう。 宮女候補の一癖ある少女たちとの共同生活や、男女のことについて学ぶ女大学。 柔軟な銀河はこの特異な環境の中で力強く順応していくが・・・・・・ 第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。 同じ賞をとっているだけあって小山歩の戒(→参照 )と雰囲気がよく似ていると思いました。 歴史書の語りと主人公たちの物語が交互に進んでいくところとか特に。 ただ「戒《の方の語りが第三者に徹していて、あくまで主人公の戒をたてて語られるのに対して、こちらの語りにはちょくちょく語り手の姿(というか主観というか)が見える気がします。 歴史的事実(と思われる部分)から語り手が推測したものが、物語という形式です。 ところどころ「それは作者の知るところではない《的に放り出されてしまった部分があったのが残念かな。 舞台が後宮ということでいわゆる男女のことにも哲学があったりして、馬鹿馬鹿しいやら滑稽やらで楽しく読めました。主人公の銀河がお子様なのがいい感じに効いていた気がします。 ラストが若干中途半端な感じがしました。大きな事件が終わって、その後のことはきちんとは語られていない。 でも読み手に想像させるラストということでは上手い終わり方なのかもしれないけれど。 んー、難しいところです。
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