推定少女 作:桜庭一樹 イラスト:高野音彦 エンターブレイン(ファミ通文庫) 2004.9 超個人的評価:★★★★-☆ 中学3年生のぼく、こと巣籠カナ。15歳、少女。 信条はあんまりがんばらないで生きていくこと。 義理の父親とトラブルを起こして家出したカナは避難先のダストシュートで不思議な少女と遭遇する。 見た目はすこぶる麗しい、しかし全裸で、手にはなんと拳銃まで持っている。 眠りから覚めた彼女にカナは「白雪」と名前をつけて一緒に東京の街へと向かう。 そこで出逢った拳銃マニアの少年千春と共に行動するうちに、白雪をめぐる不可思議な陰謀?へと巻き込まれていくが…… これは子供の物語だ。 いつか大人になる存在。それもそう遠くない未来。 そのきらきらした時間の中でかすかな反抗をこころみる彼らの物語だ。 なんて、柄にもなく感傷的なことを言ってみたくなる一冊でした。 彼らの時間は現実と非現実の中間にあるんだけど、それがなんだかすごいバランスで成立している感じというか。 うーん、上手くいえないんだけど。 22歳の今読んでも、なつかしさと共に共感を感じました。 この本が出版されたのは2004年、その時は私はもう18とかですが…… 是非とも主人公たちと同じ15歳の時にこの本を読んでみたかった気がします。 さて、自分をぼくとよぶ主人公のカナですが…… この性別の喪失っぷりがいい。 確かに彼女は少女なのです。でも呼称のせいかどこか少年っぽい雰囲気があってさ。 その不安定さがたまらなく好き。 最初は一瞬そういう萌え的要素かと思って凄い反感を感じたんですけどね。途中で一転しました。 カナと白雪と千春の関係が好きでした。 物語の確信としては白雪の正体が問題になってくるんですが…… 彼女はなんでもいい。宇宙人でもお嬢様でもなんでも。 最後、白雪が抜けたあとのカナと千春の関係もいいなあ。 共犯者?というかなんというか。 この恋が進展しなさそうな雰囲気がなんとも好きなのです。うふふ。 結局長々書いてしまった。 一読の価値はある本だと思います。 興味を惹かれた方は読んでみることをオススメします。
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