ぼくは悪党になりたい 作:笹生陽子 角川書店 2004.6 超個人的評価:★★★☆☆ 17歳の兎丸エイジ。 母親と弟との三人暮らし。 最初から父親はいない。しかも弟とは精子提供者が違うというやや複雑な家庭ながらもそこそこ平凡な日々を送っていた。 奔放な母親に変わって家の家事一切をとりしきっている。 ある日弟が病気で倒れた。仕事で長期間留守の母親に変わって助けを求めるべく、エイジは母親の電話帳の中の人物に助けを求める…… たったそれだけのことからエイジの平凡は崩れ初めていく。 タイトルに惹かれて手に取った一冊。 小心者で流されやすいエイジが不憫でよいです。 しかし最近「父親のいない平凡な家庭」っていうシチュエーションをよく本の中で見かけます。 だいたいが奔放な母と高校生くらいの息子が出てくるんですよね。 流行なのか、それとも私がたまたまそういう本をチョイスしているだけなのか。うーむ。 本で読んでいるかぎり母はかっこいいけど、現実にこれが自分の親だったらちょっと悩みます。困る。 最初、独自の女の子論を展開するエイジの親友、羊谷をなんじゃコイツは!!と思いながら読み進めていたんですが、途中で方向性が変わったあたりから割と好きになりました。決してオタクになったからじゃないYO!! かれは、こう単にちょっと極端な性格の子なのですね。たぶん。 それにしたってエイジは流されすぎだと思います。 彼を一種悪の道?に誘い込む羊谷の元カノ、アヤ。 男大好きお金大好き悪女な彼女。普段なら反感を感じるはずなんだけど、ここまでぶっ飛んでいるともはや感服です。 エイジの物語は決してカッコイイものではありません。 全体的になんていうんだろう……こう、とほほな感じがします。 でも実際問題、青春ってこういうもんなんだよね。格好よくなんかない、むしろかっこ悪くて、大人になってから苦笑しながら思い出せるような。そんな青春がここにはあります!!
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