東京バンドワゴン 作:小路幸也 集英社 2006.4 超個人的評価:★★★★-☆ 明治時代からの歴史を持つ古本屋「東京バンドワゴン」。 ちょっと変わった名前を持つこのお店に暮らすのは四世代のこれまたちょっと変わった大家族。 古本と一緒に持ち込まれる謎にも家族みんなの愛とちょっとした知恵で解決します。 物語はもう亡くなってしまったおばあちゃんの視点から語られます。 そのおかげかとってもやさしい雰囲気なんです。なんだかほのぼのしてしまう。 家族の人たちの関係はどちらかというと複雑なはずなんですが、そのみんなが優しくてちゃんと家族だなという感じがします。 最後に作者からの「あの頃、たくさんの涙と笑いを届けてくれたテレビドラマへ」という言葉があります。 どうやらこの小説は少し前のホームドラマをリスペクトして書かれたものみたい。 その影響かな、作中に家族の食事のシーンが何回か出てくるのですが、そのあたりがとっても印象に残っています。 説明文や地の文は一切ナシ。ただ家族たちのセリフが羅列されているだけ。しかも人数が人数なので、あっちの会話とこっちの会話が交差して一見だれが誰としゃべっているのかわからなくなりそうな感じ。 最初は??と思ったのですが、それが家族のわいわいした雰囲気をよく表現している気がして好きでした。 最近のどろどろした複雑な物語や頭を使う小説に少し疲れた時や、ただ物語にみせられたいときに読むといいかもしれません。 ほんわりした気分になれます。 知らなかったけど続いているみたいですね。また続きも借りてこよう。
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