優しい檻 作:椎崎夕 イラスト:佐々木久美子 太陽図書(SHYノベルズ) 2007.2超個人的評価:★★★★+☆ この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。 ある冬の日、彫刻家山辺の秘書橋本樹は山辺の元弟子で同じく彫刻家の常磐正嗣の元を訪れた。 病身にある山辺の元へ常磐を連れて行くためだ。「すべてをお前に譲る」という伝言と共に。 かつて、優しい関係を築いていた樹と常磐だったが、逢わない年月の間の変化は二人の間に大きな溝を刻んだ。 とにかく一緒に来て欲しいという樹を、常磐はすげなく追い返そうとする。 しかし、ふとしたことから両足に酷い怪我を負ってしまった樹を常磐は無口に自分の家に置くが…… 久しぶりに良いBLを読みました。 過去と現在の二人の関係性とか、それに絡んでくる山辺とか、適度な葛藤とか全体的にバランスが素敵でした。 なんだろう。 おもしろい本を読んだときって上手く感想が書けない自分がもどかしい。 絵と彫刻、違う分野だけど創作することを通して出逢った樹と常磐。 穏やかな関係のすえ常磐に告白されるんだけど、そんな時に母親が借金の保証人になっていたことが発覚して樹の家は大変なことに。 それを救ったのが大彫刻家で常磐の師匠的な存在である山辺。 彼は樹がかつて愛した女性に似ているからそばに置きたいといい、樹の借金を肩代わりする。 世間的には山辺の愛人だと思われている樹と常磐の再会した後の距離感の振れ幅がすごく好きでした。 なんだかんだ山辺がただの敵役にならないのがいいです。 これで彼がただのエロ親父だったらがっかりするし、その後の常磐との関係もこんなに切ないものにはならなかったでしょう。 全体的に静かに響く感じのお話でした。 大好き。 興味を持たれた方は一読をオススメします。
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