虚剣 作:須賀しのぶ イラスト:梶原にき 集英社(コバルト文庫) 2005.1 超個人的評価:★★★+☆☆ 親元を離れ妹の琴と共に三河で穏やかな日々を送っていた少年、連也。 ある日彼は、剣の腕を見込まれただ一人尾張新陰流の宗家である父の元へと呼び戻される。 一刻も早く強くなりたい、そんな想いを胸に稽古を重ねるうちに、連也は「尾張の麒麟児」と言われるほどの剣豪へと成長する。 腕を見込まれた連也は藩主の息子の指南役として江戸に下ることとなる。 そしてそこは、尾張柳生と対立する江戸柳生が幅をきかせている場所だった…… 歴史もの?いえいえ、私はこれをぜひともヒーローものと分類したい。 剣に魅入られてしまった主人公、連也が人間らしい感情と剣の道との間で揺れ動きます。 その人間らしい感情の象徴みたいなのが、妹の琴への想い。 それは肉親への想いというにはすこしだけ逸脱したもの。 なんだかんだ兄妹もの?と思ってしまいましたが、物語の中ではそこはメインではなく、あくまで象徴という印象でした。 そのオチも含めてきちんと王道。満足です。 さすがヒーローもの。 須賀さんの作品はレーベル的には分類されるのは「ライトノベル」になるんでしょう。 でも、もうそういうのは超越してる感じがするな。 コバルトで軍隊ものとか、ハッピーエンドになったかと思えばまた非情な困難がやってくる(ある意味すごく現実的?)某シリーズとか。 ライトじゃなくて重厚な世界感を構えずに読ませてくれる須賀さんには大感謝。大好きだ。 まっとうなことを言ったような気がした後でこんなことを言うのもなんですが…… しかし今回登場した雪也くん(江戸柳生さん家のおきにいりの能楽師。美青年。不思議な予言をする)には裏がありそうでとっても ときめきます。いい人?腹黒?不思議系? どれも大好物だ!!
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