わくらば日記 作:朱川湊人 角川書店 2005.12 超個人的評価:★★★+☆☆ 人や物の過去を視ることの出来るおねえちゃんと、そのおねえちゃんが大好きな妹の視点で語られる連作短編集。 「追憶の虹」 お姉ちゃんの能力の語られる自己紹介的な第一話。ひき逃げされた近所の子のためにひき逃げ犯を探します。 おまわりさんの秦野さんと、本庁の刑事の神楽さん初登場。 犯人がみつかることがかならずしもハッピーエンドじゃない終わり方がすきでした。 「夏空への梯子」 犯人の予告で明らかになった女子高生殺人事件。 神楽さんの以来で二人はこの事件に巻き込まれることになります。 犯人はすでにつかまっていて、警察はその動機を知りたいのだと…… 結末が印象的な作品。 「いつか夕日の中で」 二人と、なかよくなった近所のお姉さん、茜ちゃんの話。 茜ちゃんは二人の母親のところへ裁縫をならいにくるのですが…… 「流星のまたたき」 おねえちゃんの初恋の話。 流星の塵を研究しているちょっと変わった大学生笹本さんが出てきます。 切ない。 「春の悪魔」 裁縫で生計をたてている二人の母親の取引相手、ちょっと?偏屈なクラばあさんが、殺人犯?! しかも彼女は警察に自供までしているという。 しんじられない二人。おねえちゃんはそんなクラばあさんの心のなかを視る、が…… てっきり一冊完結だと思って読み始めたら続き物でした。 色々伏線っぽいことが書かれているのですが、ほとんどが「それはまたの機会に……」ってスルーされています。 超、気になるんですけど。 うっかり次も読みそうです。 最初、あこがれのお巡りさんだった秦野さんの扱いがだんだんとただのウザイ人になって行くのが非常に笑えました。 逆に怖い人だった神楽さんがいい人に。さらにはそれを通り越してかわいい人に(おっさんなのに!!) キャラクターも魅力的です。 時代背景的には東京タワーが出来たころ、です。 なんだろう。この時代って、じっさいに自分が生きてきたわけではないのに、すごく懐かしさを感じます。 テレビとか本とかの影響なんだろうけど。ちょっと不思議名感じです。 お姉ちゃんと笹森さんの話が一番好きでした。
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