完全演技者 トータル・パフォーマー 作:山之口洋 角川書店 2005.9 超個人的評価:★★★★-☆ 自分の音楽を求めてバンドを転々としていた大学生のオサム。 彼は偶然レコード屋で出会ったアメリカのアーティスト、ネモに心を奪われた。 彼女の後押しで、この伝説のアーティストの活動しているニューヨークのソーホーの地へと赴いオサムは、ニモと彼の仲間達の壮絶なパフォーマンスの世界に飲み込まれていく…… なんていうかすごい物語でした。 なんとなくタイトルに惹かれて手に取ったのですが…… ううむ。 時代設定は80年代。 前半は音楽をめざす大学生の夢と野望と恋、みたなよくある懐かしいポップな感じで話が進むのですが、ネモとの出会いでオサムの世界は急変します。 夢と現実、男と女、謎、ドラッグ、、、人生までも利用する壮絶で悪魔的なパフォーマンスの世界。 倒錯感をともなう世界観にくらくらしました。 夢を追う純粋な大学生のオサムには毒気が強すぎます。そしてだんだんとそちら側へと引き寄せられていくオサム…… もうラストは壮絶です。 いろいろなものを超えた先にある完全演技者という存在にただ圧倒されて読み終わりました。
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